文学少女は現れなかった

感情をアウトプットします

現代社会を皮肉るSpin-off!『オウムアムアに幸運を』の世界

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ラキです。

 

『オウムアムアに幸運を』の世界・コミュの考察をします。

LIVE Carnivalの記事にコミュの話もまとめるつもりだったんですが、スコアの話だけで5500字くらいあって長すぎたので、LIVE Carnival『オウムアムアに幸運を』で独立させることにしました。

スコアタ・使用編成などについては上記リンクからご覧ください。

 

今記事は、いわゆる考察とかの話なので、苦手な人は自衛してください。

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 さて、コミュの話します。

本編含めネタバレ…ネタバレっていうんかなこれ。とりあえず内容を知ってる前提で書くので、気を付けてください。

 

今回Carnivalでオウムアムアをやるという予告を見たとき、

あのムービー以上の世界観の掘り下げ、敵陣営役のアイドル、消されてしまった元・味方陣営のアイドル……などなど、何にせよ新しい情報が来るのかな、ととてもわくわくしていて。

じゃあそのアイドル達も交えてGRAND楽曲として実装する……なんてあったらマジで粋なことするな~~と思ってたわけなんですけど、そんなことはなかった、残念。

 

とはいえコミュでは、キャラクターを演じるアイドル達の心境(特にちとせの)が楽屋裏で描かれたり、本編映像に繋がるまでのストーリーが公開されたりと、十分すぎる内容でしたね。

 


スパイスパラダイスのときはそもそもストーリーがカレー一色だったので特になかったですが、今回は気持ちカレーメシを主張してきましたね。

 

 世界

Spin-off!を映像だけ見たとき、あ~……『Detroit: Become Human』的な、意志を持ったキャラクターの話で、世界を越えて…そういう作品かな?みたいな印象を受けたんですが、今回のコミュを読んだ上でしっかりと世界を見てかなり見方が変わりました。

タイトルもあるように、僕は『オウムアムアに幸運を』って我々が生きている現代社会を描いているんじゃないかと思っているんですよ。

 

義務教育を済ませた後は高校を卒業して(大学なり専門を卒業して)就職して結婚して子どもを作って親孝行する、こういうのを「幸せ」と呼んで無意識に絶対視して、その「レール」や「理」から外れて自由に生きている人には無意識ながら嫉妬して、どこか後ろ指差して小馬鹿にする。

 

「顔も意志も名前もない人形の分際で」というのはつまるところ「周りがそうするからとりあえずそうする、周りがダメだというからダメ」という、自分を持たずに雰囲気に流されている、現代社会を生きる大多数への皮肉なんじゃないかと。

 

昔、将棋の藤井聡太さんが高校に進学するのかしないのか、みたいな話が何かのネットニュースでやってました。当然というべきか、進学するべき!みたいな意見がかなり多かったように見受けられます。

ただ、将棋だけ見た視野で進学しないのはもったいない…潰しが効くように……みたいな考えは一理あるんですが、その根底には「中卒はさすがに……」みたいな、「人生の幸せのレール」から外れることへの恐怖が心のどこかにあった人もいるんじゃないかな、って思うわけです。

とはいえ、あんな将棋の天才を学校なんかに通わせるのはもったいない!という思想もそれはそれで危険ですけどね。

 

「通知」って、つまるところ我々でいうところの「世間体」「雰囲気」じゃないですか。「アップデート」は、それに流されることで。

「進学したほうがいい」「結婚したほうがいい」「就職したほうがいい」……、そういう「雰囲気」だから、そうする。そうしないやつはイレギュラーというレッテルを張られ虐げられる。

 

本編映像のほうだとそうでもなかったんですが、このコミュにおけるチトセって、自分の人生を歩みたい「希望」もどこかにあるけど、この世界でいう幸せな人になるべきだろうなという「諦観」の二つの感情を併せ持って揺れ動いている人物で、これって我々そのものじゃないですか。

そんな彼女が、自身を式からさらった4人によって心動かされて自分の人生をまっとうに生きたいとなお思うようになり「アップデート=世間体に流される」ことをやめる。

 

この話は「完熟の世界はどっかモノクロのまま」という歌詞が全てを物語っている気がします。良い世界のはずなのに窮屈で彩がない、そういう感情。

あの世界をディストピアだと思うのならば、すでに決められた幸せに向かって歩むことを世間体や雰囲気にアップデートされ続けて麻痺している我々は……?

 

僕は宇宙科学を専門にしていたわけではないので表層をなぞる形になりますが、天文学辞典によれば、オウムアムアというのは「恒星間天体」と呼ばれる、重力などに捉われずに存在できる天体のことだそうです。

重力に捉われない…、登場キャラクターのセリフや世界を見ているとやっぱり考えさせられるものがあるというか。

 

学びたいことがあれば進学すれば良いし、一緒に人生を歩みたいと思える人に出会えたら結婚なり同棲なりすればいいし。いやでもやっぱり学校は行っといたほうがいいかな、周りがしてるから結婚考えないといけないかな…。なんて、ふわふわと芯がなく惰性で毎日を生きている僕という人間の真ん中を確実に抉ってくる、そんな作品・コミュでした。

 

こういう、人間の幸せとは何なのか?という部分を描いた最近の作品に『PSYCHO-PASS』がありまして、その中に登場するとある人物が似たようなことを主張しています。刑事物なんですが、それだけで判断して切るには非常にもったいない作品なので、見たことない人はぜひおすすめします。

…って書くけども、たぶんこんな記事を最後まで読む人は真っ先に試聴してそうな作品なので杞憂でしたね。

 

マジで好きなので、続きください。Spin-off!

 

自分の足で歩けシンデレラ。

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